第1回 レスター R. ブラウン(Lester R. Brown)さん(ワールドウオッチ研究所長)
<プロフィール> 1934年米国ニュージャージー州生まれ。59年から同国農業アナリストとして活躍。農業経済と行政学を学び、64年から農務長官の対外農業顧問に就任。65年のインドの不作を早期に発見し、米国・インド両政府に進言、被害を少なくするのに大きな役割を果たした。74年に地球環境問題の分析を専門とする民間研究機関ワールドウオッチ研究所を設立。84年から毎年発行されている「地球白書」は世界のほとんどの主要言語に翻訳されている。現在も環境、経済、農業の分野で世界をリードする分析と提言を続けている。

1:食糧不足が時代を決める

 最近、ヨーロッパを訪問しました。ヨーロッパの環境大臣たちは、何か大きな危機がなければ、破局のようなものがなければ、地球環境の悪化にみんなが目を覚まさないのではないか。そのうち急速な勢いで伝染病のような環境悪化に起因する病気が広がり、地球上の生態系が崩壊するのではないかと口をそろえていました。
 しかし、実際にはそうしたことがすでに起こりつつあります。食糧不足がこれからの新しい時代を決めていくのだと思います。イデオロギーの対決がこれまでは決定的な要因でした。しかし、その時代は終わったのです。
 90年以来、穀類の増産はほとんどみられていません。今や、増え続ける人口のために備蓄を切り崩しているのです。今年の世界の備蓄は48日分しかない。史上最低なのです。ですから、昨年初めから今年にかけて、穀類の金額が2倍になっています。世界の食糧経済は不足の時代に変わっています。(ブラウン談)

 幸田 これからは人口爆発、食糧危機、地球の温暖化など私たちの未来を左右する大変重要なテーマであると伺いましたが、いずれも私達の生き方と価値観に直結する問題です。人類にとっての第一級の挑戦と言えると思いますが、現在の日本に目を向けると、食料も物もあふれている。それから日本では出生率の低下が懸念されていて、人口が増えることと逆の状況がある。
例えば、日本は経済力があるんだからなんとかなるんじゃないかという考え方の人もいる。に本音の影響やどんな事態が日本に起きてくるのかということについてのお考えをお聞かせください。
ブラウン 短期的には食料価格が高騰するだけですが、徐々に政治的不安が生まれ、そしてこれがグローバル経済に影響を与え、そしてやがてわれわれ全部に影響を与えてくることになります。穀物価格のこうとうによってもし政治的不安が起これば、誰かが勝ったとか負けたとかいうことではなくなります。全ての人が敗者になります。
 幸田 ブラウンさんのメッセージは、最悪のシナリオを想定しているのか、やや甘くみてもこうなるというものなのでしょうか。
ブラウン これに対する答えは、現在起こっている状況に政府がどのように対応しているかということだと思います。もし、りーだーが状況をよく理解して早く行動を起こせば効果的に対処できると思います。待つ時間が長くなればなるほど問題が深刻化して手に負えなくなる。
ワールドウオッチ研究所が存在する理由は、研究調査を行い、情報をとり、それを政治的リーダーに届けていく、使ってもらえるようにすることなのです。
2:食生活を穀物中心に変えよう

将来を見たときに、少し時間稼ぎをして、人口の安定を持つ、そのためにできることがいくつかあります。一つは贅沢な食生活を穀物中心に帰ること。食糧不足が起こったとき、何に頼れるかと言いますと、一つは家畜所飼料用穀類です。昨年、世界では17億5000万tの穀類を使っていますが、そのうち6億4000万tが家畜の飼料に使われているのです。およそ37%。この飼料用の穀物が人びとの口に入ればかなりの人が食べられると思います。
 アメリカ人は昨年、ほとんど間接的に畜産物、牛乳、ヨーグルト、アイスクリームという形で約800・の穀類を摂取しています。イタリア人は直接的に平均で年400・の穀類をとっています。イタリアの平均寿命はアメリカより長いのです。健康上野理由から言っても、肉中心の食事をやめて穀類を中心に変えていく必要があると思います。(ブラウン談)

幸田 ブラウンさんの警告は、地球上の人口増加が大きなベースになっていますが、これに温暖化による様々な不安定な要因が加わってくると、問題はさらに悪化することが考えられるわけです。世界で食糧危機が起きたとき、世界の国は人道的に行動することができるのでしょうか。私たちの方まで切り詰めなければならなくなった場合、いったいどういうことが起きるのでしょうか。そのために国際的なルールやメカニズムを決めておく必要があるのではないでしょうか。
 ブラウン 世界の食糧状況が「余剰」から「不足」に移っていくなかで一番影響を受けるのは、国際食糧援助計画だと思います。ここ50年間、食料輸出国の問題は恒に余剰生産でした。余剰生産がある場合には食糧を飢えた人たちに与えることは楽です。一石二鳥ということです。
 しかし将来的にはもう何十という国がかなりの食料援助を必要としてくると思います。しかもその時点で食糧は不足しているわけですから、援助国の政治家が多くの食糧を、国内でインフレが起こることを知りながら外国へ援助として出すと言うことは想像しにくい。ですから、余剰の政治学から不足の政治学へ移るということになれば、事態はまったく変わってくると思います。
 幸田 そうしますと南北問題が激化するということになりますが、結果として、自分の所を切り詰めてまで出せない状況が出てきた場合、ないところはどんどんなくなる・・・。
 ブラウン 南北間にどのようなあつれきが起こるのか、対立になるのかを予想するのは難しいことです。
 ベトナムは昨年、米の輸出を禁止しました。国境から陸づたいに中国側へ米が大量に流出したのです。というのは中国での価格は世界価格を上回っていたからです。
それによって、ベトナムでの食糧価格のインフレを招いてしまった。ベトナム政府は国内のインフレを抑え、政治的不安を取り除くために米の輸出禁止令を出しました。これにより米を輸入していた国にも大きな影響が起きたのです。
 穀類を輸出している国は数カ国しかありませんが、輸入している国は150カ国にも登ります。そんななか、輸出国のどこかが輸出を禁じれば、世界の穀物価格に大きな影響を与える可能性があります。これは危険なことですが、実際に起こりつつあると言えます。
 幸田 つい昨日の新聞に、アメリカの九六年の農産物の輸出は過去最大になったと出ていました。これは中国などアジアの需要が増えたためということなんです。アメリカ国内の分が足りなくなる恐れが出ているといいます。ブラウンさんのお話と重ね合わせてみますと、欠乏の時代が近寄ってきたのではないかと感じます。
3:イデオロギーを超える生態学

人口政策をもう一度考え直す必要があるかもしれません。日本では、出生率をいかに上げるかということが議論されていますが、漁獲量、穀物の量も減っている時代に、1カップルが二人以上の子供を持つ必要があるでしょうか。
 イランはイスラム教原理主義による政府ですが、人口を減らそうと考えています。生態学的な関心からイデオロギーを超えて人口問題に取り組んだのです。イランでの平均的家族の数はおそらく、8人から5人くらいに減りつつあります。(ブラウン談)

 幸田 人口問題は宗教とも大きく関わっています。子どもの数を制限、コントロールすることに反対、あるいは禁止する宗教や価値観があります。宗教的な考え方というのは人々にとって最も神聖な価値ですから、それを変えるというのは最も難しい挑戦ではないかと思います。宗教的価値観と私たちがこれから目指していく価値観の対立をどのように解決していくことができるとお考えでしょうか。
 ブラウン 宗教的問題を扱うのはつねに難しいものです。しかし、イランではイスラム教原理主義の指導者たちが、環境的配慮から自分たちの国の人口動向に大きなは変化をもたらそうとしています。彼らは180度転換しました。それも生態学的な問題が神学を上回ったということではないでしょうか。
数年前、私は500年以上歴史のあるイタリアのピサ大学から名誉学位をいただきました。ガリレオもピサ大学の学位を持っています。彼と私には共通点が二つあって、一つはピサ大学、もう一つは法王に認められないということでしょう。
 幸田 ブラウンさんから見て世界の政治家や指導者は人口増加や食糧問題にどれくらい真剣に取り組んでいるとお考えですか。
 ブラウン ほとんどの政府は、将来の問題は食糧の余剰で価格は下がるだろうとみています。これがFAO(国連食糧農業機関)や世銀が予測していることだからです。しかし、日本政府は、将来的に不足してくると言うワールドウオッチ研究所の考え方に傾き始めています。少なくとも一つの大きな政府、日本政府が不足こそが問題なのだという認識を持ち始めたと思います。しかし、現在のところ世界中の政府が、人口と食糧の不均衡をどうただすかについて適切な努力をしているとは言えません。
4:消えた黄河の流れ

世界の漁獲量も90年以来増えていません。FAO(国連食糧農業機関)の海洋研究家たちは世界の17の漁場すべてが、その再生能力ぎりぎりまたは限界を超えて、漁獲されていると言っています。
 陸では耕地が不足しつつあります。世界の耕地は、50年からは少しずつ伸びていたわけですが、91年以来増えていません。それから水不足が顕在化しています。これは食糧増産に大きな歯止めをかけるのです。世界の川のいくつかが海に達する前に干上がっている現象が起きています。中国の黄河は海にたどり着く前に干上がってしまいます。
 また中国北部では帯水層の水位低下により、かなり深刻な水不足に直面し、農業にも影響が出ています。
 環境的に持続可能な社会をつくることと、将来に対して食糧を安定して供給することは同じことです。人口や気候をあんていさせる、そして耕地を守る、水を効率的に使う、持続可能なレベルで漁場で操業していく、そして種の減少に歯止めをかけることが必要です。
 持続可能な方向に社会を動かしていくエンジン、それは食糧不足だと思うのです。この食糧の高値というのは、初めての経済的指標として渡したち人間と、57億人を数える人間が頼っている自然の資源、システムの関係を明らかに示しているのです。(ブラウン談)

 幸田 事態がかなり悪化するまで何もしないという最悪のシナリオも考えられないわけではないわけですが、どうすればそれぞれの国の政治家にもっと積極的になってもらえるのでしょうか。これが大きなテーマになってくると思うんですが。
 ブラウン 政治家が経済学の考えに大きく依存していることは大きな問題です。われわれが将来抱えるであろう問題については、経済学者がよく理解できる、また分析できる種類のものではないからです。
 私が、中国についてぶんせきしたときに、注目されたのは経済学者が考慮しなかった問題でした。例えば地下水位の低下、肥料への反応の低下、森林の農地への転換などについて書きましたが、このような分析がアメリカ政府に受け入れられ、政策を変えるに至るまでには時間がかかりました。
 幸田 当事者である中国政府の反応はどうでしたか。
 ブラウン 私たちがワシントンで木曜日に研究結果を発表しましたが、翌週の月曜日に中国の農業省も気や会見を開き、人口増か、富裕層の増加、そして耕地不足から穀物輸入が増えるという私たちの発表に対して反論してきました。
 しかし、その12ヶ月後に輸出国から世界第2位の輸入国になったのですから、ものすごい変化があった。去年の7月に私は北京に招待され、ディスカッションをしました。ですから、中国でも問題を認識し始めて、今対策を考えているところです。
 幸田 温暖化という今私たちが直面している大きな課題のお話を伺いましたが、日本だけでアフリカ大陸や南米大陸よりも多く二酸化炭素を出しているというのが現状だそうです。日本の排出量のほんの数パーセントが変化しただけで小さな先進国1ヶ国分の排出量に匹敵するというのですから、やはり日本が大きな影響を及ぼしています。これまで先進国は、二酸化炭素の排出量を2000年までに90年レベルに安定させるという努力目標を掲げていますけれど、どうやらアメリカも日本も達成できないということになったわけです。
 達成できない理由の一つに、企業なら企業、市民なら市民それぞれの具体的な目標がいまひとつはっきり見えない、自分の生活のなかで具体的にピンとこなかったということがあるかもしれません。もう一つは拘束力のない努力目標であったということもあるのではないかと感じます。
 ブラウン 大切なのはこれが重要な課題だという理解が欠けていること、私たちの未来を左右するものだという認識が欠けていることです。しかし、短期的にみると、嵐の被害が増え、保険会社が破産する可能性が出てきます。そうなれば保険業界が温暖化に関心を持ち、政府に対して行動を起こしてくるかもしれません。1年前の4月、ベルリンで開かれた気候変動枠組条約締約国会議で、二酸化炭素排出量を減らそうと環境主義者たちが話し合っていました。彼らに加わったのは37ヶ国からなる島嶼諸国連合でした。温暖化で海面が上昇し、住む土地がなくなってしまう国々は環境主義者と同じ立場に立ちました。
 また去年の夏のシカゴの熱波のような状況が起きれば、食糧供給が減り価格は高騰するでしょう。気温が上がることと値段が上がることの関係がわかってきます。そうすれば二酸化炭素の排出量を減らせというロビーイングのような動き、政府に対するプレッシャーが強くなってきます。
 しかし、緊急性が感じられないと、現状のままでいいではないかという考え方になってしまうのです。政府でも個人でも本当に何かしなくてはならないときまでは何もしない方が楽なのですから。
 幸田 そこがつらいところですね。ギリギリやらなきゃしょうがないということが確認できてやっと動く。私たち一人ひとりにそういう問題があると思います。
 私たちのライフスタイルを変えるということで税のあり方も大きく関係してくる分野だと思うんです。炭素税、環境税というものが効果があるとお考えでしょうか。
5:エネルギーの転換を

 できるだけ早く、化石燃料を代替エネルギーに変える必要があります。いいニュースがあります。昨年、石油、天然ガス、石炭の使用量の伸びは1%ぐらいでした。風力の使用量の伸びは33%、太陽電池は17%。絶対量は少ないのですが、この伸びはとても嬉しいことです。この勢いを続けて、二酸化炭素の排出や気温の上昇をとどめることができればと思います。(ブラウン談)

 ブラウン グローバルな経済を環境的に持続可能な方向に動かしていくためのいろいろな手法を考えてみると、税制政策は大変重要で効果的だと思います。例えば二酸化炭素排出、バージン原材料の使用、有害廃棄物の処理、農薬の使用については税制度を変えなくてはなりません。いいものには所得税の減税、反対に二酸化炭素を多く排出するものには増税ということです。
 環境的に持続可能な経済構造をつくる。そういう正しい方向に向かわなければならないと思います。例えば炭素税は、温暖化や酸性雨といった結果のコストを反映する税金ですから、エネルギーを石炭から風力、太陽熱発電、太陽電池へと転換していくきっかけになるのです。
 幸田 税金より補助金を出してもらった方がいいという考えもあります。企業や私たち市民の行動を変えるために、税でなく何らかのインセンティブを与えるというと、どちらの方が効果があるのでしょう。
 ブラウン 補助金と税金は両方財政的な面で関わってきます。最近目の当たりにしているのは、ある活動に対する補助金が環境に外を与える結果になっていることです。例えば、各国政府が漁業に対して与えた補助金を3年間調査しました。しかし、そのときすでに漁獲量の限界を超えていたのです。乱獲をあおる補助金だったのです。財政的にも無駄で環境上、破壊的な害を与える政策だったことが後でわかりました。
 幸田 会場からも質問が出ています。環境保全活動を先進国だけでなくて途上国でも本格化させるためには環境保全活動のビジネス化が不可欠だと考えます。環境ビジネスについてどうしたら成功するかご意見をお聞かせください。環境保全とビジネスをどう調和させていけばよいのでしょうか。
 ブラウン よく雇用をとるか環境をとるかという問題だと言われますが、これは人びとに混乱を与えていると思います。本当の問題は環境と雇用の両方の問題なのです。海洋漁業を支える環境が守られなければ、経済も沈滞する、雇用もなくなる。例えばカナダでは漁民が漁獲量をコントロールされると仕事がなくなると反対しましたが、そんなことをしているうちに漁業が本当に崩壊してしまいました。その結果、3万5000人が仕事を失いました。数年前に漁火雨量を持続可能なレベルに減らしてさえいれば永遠に漁業は続いたんです。
 経済は環境のサポートシステムのなかにあります。土壌にしろ森林にしろ気候にしろ漁業にしろ、それを守ることができなければ経済の将来はないわけです。
6:環境活動家になろう

われわれは、環境革命を起こす必要があります。抜本的にやらなければなりません。人口を安定させることは子供を産むという態度をかえなければならない、また気候を安定化させることはグローバル経済の構造そのもの、エネルギー構造そのものを変えなければならないのです。私たちは活動家にならなければなりません。他の人たちがやってくれるのではないかと手をこまねいて見ているだけでは済みません。私たち自身がやらなければ何も成し遂げられません。(ブラウン談)
 幸田 もう一つ会場からの質問です。ブラウンさんの人生、生き方のポリシーを教えてください。普段の生活をどのように変えることで、環境革命を体現しているのでしょうか。スニーカーを履いていらっしゃるのもそれを表現しているのですか。
 ブラウン アメリカ人は普通、車は持たなくてはならないものだと考えます。私はアメリカ人ですが、車は持っていませんし、自転車の方が好きです。広告にすぐ動かされたり、もっと消費することが幸せではないことははっきりしてきました。私のアパートはベッドルームが一つだけですし、よく走ったり歩いたりするのでスニーカーを履いています。
 幸田 今泉みね子さんというドイツに住んでいるコラムニストが、ドイツの社会学者の言葉を紹介しています。これは私にとっても耳が痛い言葉だったんです。「地球環境問題について語ったり書いたりする人が必ずしも他の人に比べて環境にやさしい生活をしているとは限らない」と。環境問題を教えている先生が学校まで車で行ったり、矛盾だらけなんですね。
 来年は、リオの地球サミットから5年です。国や企業もプランを出し始めていますが、そろそろ市民の間でもアクションプランみたいなものを、グローバルな形でネットワークさせていくというようなことも必要だど思うんです。
 私たち一人ひとりが、一人じゃたいしたことができないと思ってしまう、無力感が最大の敵だと思うんです。一人ひとりの立場で何ができるのか。考えるだけでなくそろそろ動き出さないと私自身も罪悪感が高まって、とても息苦しくなっちゃうんです。何かアドバイスをいただけないでしょうか。
 ブラウン 二つのレベルで考えられます。一つは個人でできること、自転車に乗る、車をやめる、リサイクルする、エネルギーをできるだけ効率的に使う、このようなライフスタイルの面でできることはいろいろあります。しかし、もっと重要なことは政治的に活動することだと思います。環境的に持続可能な将来にたどり着くためには根本的に現在の仕組みを変えなくてはならないのです。変化を起こして政府の優先事項を変えていかなくてはなりません。
 例えば誰もが議員になることはできませんが、政治の場で活躍することはできると思います。立候補者の支援をすることで懸念や心配を分かち合う。または新聞に投書することも効果的なことかもしれません。それによって国民の意識が高まり、政治的な決断にも影響を与えるでしょう。
 幸田 私、つい最近「リーダーシップとは何か」というハーバード大学の恩師の本を翻訳したんですが、私たちはどうも自分には資格がない、力がないとかいろいろなことを言って、結局それは責任逃れになっちゃう。みんなが無責任態勢で、誰かが出てくるのを待つ。
 私が先生の考え方で一番感動したのは「リーダーシップと権威はまったく別物なんだ」ということ。リーダーシップとは、権威があろうがなかろうが、本当にやろうと思う強い気持ちがあって、大きな問題を前進させるために人びとの力を動員して立ち向かうことだというのを聞いたときに、私も一人の市民として責任があるんだなということを痛切に感じました。
 私は今、こういうことができればいいなと思っているんです。「一丁目運動」というんです。私は3丁目に住んでいますが、3丁目の住民で何か話し合って勉強して、私たちだけの、他よりちょっと進んだリサイクルとか木を植えたりとか、そういうちょっとしたこと、身近なことで何かできないかと今考えています。
 最後に、国際社会の一員として私たちにできること、めざしていくべきことについてお話ししていただきたいと思います。
 ブラウン 二つの大きな問題があります。日本はすでに人口を安定化させていますから、途上国の人口を安定化させることにリーダーシップを発揮できると思います。
 温暖化問題に関しては、科学技術の力があり、世界一大きな海外援助を行っている国ですから、そういった手段を利用して変化を引き起こすことができると思います。
 残念なことに日本は、その成功に見合うだけのリーダーシップを世界的に発揮していない点です。私の提案としては、皆さんの政府に圧力をかけ、プッシュして、世界でリーダーシップを発揮するようになっていただきたい。
 幸田 ありがとうございました。

 



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